
本作は、「ヒメオドリコソウ」を再現したフェイク野草である。
実物と同じサイズ感を目指し、布を染料で一枚一枚染め、針金で構造を組み上げて作った。申し訳程度にブローチピンを合体させ、服に着けれるようにしている。

ヒメオドリコソウはそのへんにたくさん生えている草で、もとはヨーロッパ原産である。
私はこの頃、薔薇とかスミレとか、王道の花を作りつくし、誰も作ったことのないような花を作りたいと思う時期に陥っていた。
作るにあたっては、生えている野草を抜いて、葉と茎を解体し、紙に写し取って型紙を作った。
葉のグラデーションが上部になるにつれ、紫色みを帯びるのが、野草っぽい。

目で見ているだけでは気づけなかったことが、手を動かして再現しようとするうちに見えてくる。
葉の重なり方や茎の節の位置、花びらの向きや小さな色のにじみ。
観察するだけでは見えてこないものが、模倣することで見えてくる気がした。
「作る」という行為を通じて、普段よりも少しだけ「対象を知る」ことができたと思う。
